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江守徹スペシャルインタビュー



江守徹







 震災にあって、いまもなお私たちの
 想像ができないような苦しみの中にいるかたに、
 こうした素晴らしい言葉を聞くことが、
 何がしらの力になることを心から願います。---江守徹。




----2011年5月19日、名言365本の収録を終えた直後の江守徹さんに、名言や言葉についてお話をお聞きしました。


母が教えてくれた、「叩けよ、さらば開かれん」


ぼくには特別座右の銘というものや、特に覚えようとした名言というのはありません。しかし、今でも覚えているのは、僕が高校のころ、母親に俳優を目指した いんだと打ち明け、俳優の養成所の試験を受けようかどうか迷っているときに、---今回の名言集にもほぼ同じ言葉がでてきますが、「叩けよ、さらば開かれ ん」と、そう母親が言ったんですね。聖書の言葉と言ったかどうかは覚えてないんだけど「叩けよ、さらば開かれん。そういうことがあるんだから、とにかく やってみなさいよ」と。
それと同じように、絵を描いてたことのあるおふくろは、俳優になるということについて、「ひとは絵を描いたら必ず誰かに見せたくなるものだ」と言ったんですよ。人間は、自分が何かをしたら、誰かに見せて、反応を知りたがるものだと。
このふたつの言葉のおかげで、俳優の世界に飛び込む決心がつきました。
ぼくが少年の頃は、俳優になろうなんて大っぴらに言えないところがありましたが、この言葉に、面接でもオーディションでも積極的に受ける勇気や、ものおじしない気持ちを与えられたのだと思います。

マクベスの名セリフ、「人生とは歩きまわる影法師」

これまで多くの芝居をしてきた中で印象に残っている言葉は、やっぱりシェイクスピアのものに多いですね。たとえば「マクベス」の台詞、「人生とは歩きまわ る影法師。舞台に出ている間は大見得を切るが、出番がなくなると消えてしまう」とか、覚えていますね。これは自分でマクベスを演じた時にいいセリフだなと 思ったんです。
マクベスは、女房に自分の主君を殺しなさいと言われ、そのとおりに主君を殺して、そのあとは今度は自分がやられるじゃないかと猜疑心に苛まれる---その 心の動きを、マクベスを演じる上で、毎日毎日感じるわけですよ。そうした日々を送るなかで、この言葉の"無常感"みたいなものに魅かれたのでしょうね。

その”気”になれ」と自分に命じ続けて。

今の話ともつながるんですが、自分が俳優として演じてゆくなかで常々心がけている言葉がひとつあります。「その"気"になれ」ということです。 舞台では演技をするのではなく、その人間になれ、その人間の心をつかめと---誰でもよく言うことで、大事なのは心だということですが、僕はそれを"気" という言葉を使いますね、そう思っていますね。- 今日も365本の名言を朗読させていただきましたが、やはり大切なのは、その"気"になることなんですね。多くは偉人の、ひとかどの人物が語った言葉です から、一本一本に重みがある。それを365回、その"気"になるのはたいへんですが、でもやっぱり、その"気"にならないとこのような言葉は言えません。 …いや、この「その"気"になれ」のようなことは、後輩にはほとんど言いません。そういうの好きじゃないんです(笑)。自分が演出したときには具体的な注 文はつけるけれど、ふだんは言いません。…まあ、むかし酔っぱらったときには言ってたかもしれないけどね、いまはもう飲まないから(笑)。

話し手がいい言葉を話して、初めて大人の耳に届く。

この「腹にずしん!とくる名言365」は、目で読むものではなく、耳で聞く名言集です。 …赤ちゃんが言葉を覚えるのはやっぱり文字ではなく、耳から、両親や祖父母や兄弟が話している言葉が耳に入ってきたものを、何回もまっさらな脳髄に刺激を 受けて覚えていくものです。おおげさに言えば、そのとき思想や思い、考えかたとともに覚えていくんですね。 それと同じように、大人にとっても、耳から入ってくる言葉のチカラは大きい。ただ、大人の耳に言葉を届かせるには、話し手がいい言葉をしゃべらないといけ ないからね。俳優という職業は、なかなか大変な、責任のある仕事だとあらためて思います。 聞いてくださるかたには、なにかを受け入れる気持ちで耳をかたむけていただければと思います。…いや、けして無理して聞くということではなくね(笑)。

この名言集が、明日への力となることを願って。

この名言集の企画は東日本大震災の前に立ちあがったものですが、3.11を経たあとは、この名言集の持つ意味が変わったように思います。 やはり、今もまだ苦労してらっしゃるかた、悩んでらっしゃるかたも多いと思いますし、それは我々には想像ができないような苦しみでしょう。しかしそうした 日々のなかでも、こうした素晴らしい言葉を聞くとことが、何がしかの力を与えてくれるかもしれない、そうなってくれればいいと、心から願います。

(2011年5月19日、レインボー・ノーツ麹町スタジオにて)


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